Vol.1/4
住宅の作り手として
経営者
中条和豊さん|株式会社高松ハウジング 代表取締役
住宅建築のカテゴリー、建築とは?
三谷
高松ハウジングさんには当社が創業したころから建築工事を助けていただいていまして、いつもありがとうございます。
中条
こちらこそ助かっています。
三谷
本日は中条社長に建築という仕事の良さや魅力、また大変さなどを語っていただいて、広くこの仕事や職業を知ってもらおうという趣旨のインタビューです。まず前半は建築という仕事や職業について、そして後半は中条社長自身の経歴や仕事観などを聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
中条
分かりました。よろしくお願いします。
三谷
まず、建築業というのはすごく広い範囲があると思うんですが、一般の方の、建築業とはどんなものだろうという疑問に答える感じで、どのような職種で、どんな職業なのか教えていただけたらと思います。
中条
建築業というのは、家であったり、病院やマンションなどの建物を建てる業種です。よく似た言葉で建設業というのがありますが、建設業の中に建築業が含まれる感じです。建設の場合は、建築のほかに橋などの構造物全般を含みますが、建築はわかりやすく言えば、生活に関わる建物を建てていく仕事だと思っています。
三谷
なるほど。その中でも、中条社長が率いられている高松ハウジングさんのおもな仕事や業務はどのようなものですか?
中条
9割以上が住宅で、それも一般住宅がほとんどです。たまに雑居ビルの改修や店舗などもありますが、ほぼほぼ住宅に関する工事が多いですね。
三谷
住宅は、やはり木造ですか?
中条
木造が9割以上です。たまに重量鉄骨の工事を請け負うこともありますけどね。
三谷
同じ建築でも、やっぱり木造と鉄骨造では全然違うものなんですか。
中条
全然違います。
三谷
建築会社さんでも、木造はできるけれども鉄骨はまったくできないという会社があるんですか?
中条
会社によって得意・不得意は間違いなくあると思います。私どもはどちらかというと、木造の方が得意な工務店ですね。工務店によっては、鉄骨が主で、木造が不得意な工務店もあります。他にも鉄筋コンクリートを専門にしている会社もありますし、得意・不得意は絶対あると思います。
三谷
すべてをバランスよくやっている会社もあるんですか?
中条
そうなると総合建設業みたいな会社、地元の大手はすべてやっているでしょうけれども、小さい工務店ですべてやっているというところはなかなかないんじゃないでしょうか。
三谷
技術やノウハウの積み重ねの部分が違うんですね。
中条
そうです。
三谷
たとえば一般の人は、この会社は木造に強いとか、鉄骨に強いというのはわからないと思うんです。それで何気なく発注がきたり、仕事の依頼がくることもあると思うんですが、それはできませんとお断りすることもあったりするんですか?
中条
今まで仕事をしてきた中で、私どもが請け負ったことがないのは鉄筋コンクリートです。たまたま鉄筋コンクリートのご依頼をいただいたことがないので、お断りしたことはないです。本当にたまたまですが。
三谷
もしそういうオーダーがきた場合は、中条社長ならどうされますか?
中条
鉄筋コンクリートをメインでやっている業者で知っているところがあまりないので、鉄骨の方ならばこういうメリット、デメリットがありますというふうにお話を持っていって、お客さんさえ良ければ鉄骨や木造の方に変えてもらうようにおすすめするかもしれないですね。
三谷
どうしても鉄筋コンクリートとなると、ちょっと難しいですか。
中条
はい、そうですね。
三谷
なるほど。最初のお話にあったように、同じ住宅建築でも得意分野が会社によって違うということですね。でも依頼する側からすると、無理に引き受けられるより、信用できる会社を紹介してくれる方がずっと親切でありがたいと思います。
信用を積み重ねて
三谷
ちょっと話が逸れますが、お客様は一般的にどのような方が多いですか?
中条
私どもの場合は、祖父の代から工務店をやっていますので、これまでのお客様の積み重ねがあるのと、あとは紹介がほとんどです。
三谷
そうなんですね。お客様との昔からのつながりの中で、家を建てたいとか、リフォームをしたいというご依頼をいただくというわけですね。
中条
ええ、それがほとんどです。
三谷
おじい様の代からとおっしゃっていましたが、どういう流れでお客様になることが多いのでしょうか?
中条
やはり、小さい仕事をコツコツきちんとすることだと思います。これは私だけではなく、たぶん先代や先々代もそうだったと思いますが、ご依頼をいただいたどんな小さな仕事でも、対応をきちんとしていれば信用が生まれてきます。最初から、紹介されて新築の家や大きな工事を発注してくれる方はなかなか少ないので、やはり小さい仕事を一生懸命やって、人間関係ができて、初めて中くらいの仕事をくれたり、「あんたはまあ信用できるから、うちの息子が建てる時にちょっと相談に乗ってくれないか」という相談を受けることはあります。そこからお客様になるというのが多いかもしれません。なので、結構長いスパンで考えてます。
三谷
信用を積み重ねていく中で、ご紹介いただいたり、リピートしていただくことが多いんですね。おじい様の代からだとすれば、お客様もたとえば親の代、子の代のお家を建てることもあるんですか?
中条
ありますし、その逆もあります。代々依頼をいただけるお客さんもいらっしゃいますし、また、お父さんの代は依頼をいただいていたけれども、息子さんの代になると、やはり息子さんのつながりというのも当然ありますので、離れていくお客様もいらっしゃいます。何もしなければ顧客数は減っていきますので、その減る分を少しでもなくしてプラスになるよう、新しいお客様を見つけていくようにしています。
三谷
そうなると、信用づくりが一番の仕事ですね。
中条
商売はたぶん何でもそうだと思いますが、信用さえあれば、どんなことでも依頼をいただけると思っています。
次回は現代社会における職人の立場やこれから求められる能力などについて、自身も職人でありながら経営もされている中条社長ご自身の目線でお話をしてくださいます。どうぞご期待ください!
取材・文:藤井まどか|株式会社プラザセレクト
GUEST PROFILE
中条和豊|経営者|株式会社高松ハウジング
昭和45年、香川県生まれ。地元の酒店に就職し、営業や社会人としての基礎スキルを学んだ後、祖父の代から続く実家の「株式会社高松ハウジング」に勤務する。自身も職人として現場に出つつ、平成9年からは取締役として経営にも従事するように。代表取締役に就任した今でも変わらず現場の様子を見に行くなど、「現場の大切さ」を忘れない経営に徹している。