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経営者×プロフェッショナルの対談記事

Vol.1/4

お菓子を通して叶えたい想い

代表取締役社長
岡田圭祐さん|株式会社イルローザ 代表取締役社長

45年の歴史を受け継ぐ。そのはじまり

三谷
今回、徳島県では誰もが知っている「イルローザ」を展開している、株式会社イルローザの岡田社長に対談のお相手をしていただきます。岡田社長とお話させていただくということで、さきほど経歴を少しお話しましたが、大学も同じで年齢も2歳差ということでかなり親近感を感じています。よろしくお願いします。
岡田
よろしくお願いします。
三谷
2年くらい前に社長に就任されたということで、かなり世の中が混乱した時期で大変だったと思うのですが、そのあたりのことも踏まえてお話いただければと思います。まずはイルローザさんの歴史や会社の成り立ちなどからお伺いしてもよろしいですか?
岡田
イルローザは私の父、現会長の岡田昌夫が創業した会社になります。父はもともと徳島の木頭という山の中の出身でして、父がまだ幼少期だった頃は山が資産だった時代で、山持ちというのは地域の資産家と言われているような時代でした。そこの次男坊だったんですが、今から45年前はおかしな時代で、家業を継げない資産家の次男坊は何をするか決まっていない中、自分で事業を起こさなければいけない時代だったんです。

始めは何をするのかわからない中で事業を起こし、実家の山の仕事の二次受け三次受けで仕事の間を回してもらうようなところから事業をスタートしたそうです。そこから不動産の仕事を始めて、県庁のすぐ裏手の昭和町に自社ビルを建てました。その事務所の横に住居があり、1階に飲食店などのテナントを誘致できるスペースがありました。そこに飲食店を誘致する予定だったそうなのですが、両親が食べることが好きだったこともあり、なぜか自分たちで飲食店をやろうじゃないかと急に舵を切って飲食店を始めたのです。
三谷
はじまりは、そうだったのですね。
岡田
はい。そこから、その飲食店のデザート部門が独立するような形で、イルローザという事業がはじまりました。その後、会社の状況や戦略的なこともあって、他の事業をやめてイルローザに集約していったというわけなんです。沿革的にはそういった感じですね。

三谷
時代の流れの中で今の事業の形になっていったということですね。創業から形が変わって今現在までつながり、もしかしたら会社の変革とともに徐々に変わっていったかもしれませんが、企業理念や会社として大切にしていること、岡田社長の価値観にも通じるものなどは何でしょうか?
岡田
私がこの会社に入社した時から、企業目的、経営目的という形で「お客様のために」「社員のために」「地域のために」という3つの目的がありました。
お客様のためには「お菓子を通じてお客様に心豊かなひとときと思い出を提供します」ということ。そして、社員のためには「社員の物心両面の幸福を実現します」ということ。そして地域のためには「雇用、納税、地域素材の活用を通じて地域貢献します」ということ。この3つが柱になっています。

私どもの会社には「お菓子は心の栄養です」といったフレーズがあって、これは創業者である私の両親がずっと社内のメンバーとともに共有し続けてきた言葉です。今現在も「お菓子を通じて」といったところが、経営目的の中で一番初めに掲げられ一番上位にあります。私の両親が45年かけてつくりあげてきたものがこの経営目的に書かれているのですが、このお菓子ってすごく特別な商材だなと私も思っていまして…。

人の想いを大切にすることや大切な人にものを届けることとお菓子という商材はものすごく親和性が高い。だから、事業もお菓子というものに集約されてきたんじゃないかなというふうに思っているんですね。人だったり、地域とのつながりだったりといったところを常に大事にしてきた二人が作ってきた会社だからこそだと思っています。
三谷
なるほど。確かにお菓子って特別な存在だなと思いますね。
岡田
ただ、お菓子の利用っていうのものどんどん変わってきています。またこの地域もさきほど三谷社長がおっしゃったように、社会が変わる大きな岐路にある中で、お菓子という手段だけじゃなく、いろいろな形でもっと人の想いに寄り添うことが、私たちイルローザにできるんじゃないかなと思っています。そういったところで、私たちにとってお菓子とはどこまでいっても最も大切なものではあるのですが、そのお菓子に限らずもっと地域のお客様や地域社会に対して、貢献できることをこれから大切にしていく必要があるんじゃないかなと私は思っています。
三谷
なにげなく幼い頃から食べていますからそんな風に考えたことはなかったのですが、言われてみたらお菓子って本当に特別なものだなと思います。何かあったらお菓子を間に挟んで人と話をしたり、ちょっとした手土産だったり、もしくは謝罪などの時に持って行ったりなど、お菓子というものはいろんなところで人と人とをつなぐ媒体になっていますよね。今聞いて、改めてなるほどと思いましたね。

岡田
入社した時から後継者という立場で役員として入ったので、社内でメンバーと時間を多く過ごすとともに、社外でもいろんな方とお話させていただく機会があるのですが、すごい不思議だなって思っていたことがありまして…。「イルローザです」って名刺交換をさせていただくたびに、皆さん必ず「いつもお菓子使わせてもらってます」「ありがとうございます」って言われるんですね。普通逆ですよね。私たちが「ありがとうございます」なのに、逆に言われるこの仕事ってなんなんだろうって。この地域でイルローザという会社が作ってきたものを感じましたね。両親はじめ、うちのメンバーが真摯に地域の方々と向き合ってきたからこそ、そういったことを仰っていただけるんだっていうことがすごい衝撃でした。そういったこともあり、11年前に徳島に帰ってきてから少しずつ、この仕事は特別な仕事なんじゃないかなというのを感じるようになってきましたね。

先ほど仰っていただいたとおり、私たち専門店のお菓子って、必ずお菓子を利用していただく方の想いだったり、その方がその先のお客様と時間を過ごしたり想いを伝えたりと、そこに必ずシーンや想いが存在するんです。単純にただ消費されるものじゃないからこそ、お菓子は特別な商材になってくるんじゃないかなと。想いを伝えるギフトと言われるものの中でも、圧倒的に利用頻度が高いのがお菓子。お菓子を通じて人の想いや人のコアな部分に触れることができるということと、利用頻度が高いこと、この二つが合わさっているからこそ、やっぱり特別なものなんじゃないかなと思います

「お菓子」という特殊なモノ

三谷
そうですね。お菓子がもしこの世からなくなったらちょっと寂しいと思います。仰っていた通り、豊かさというのは繋がっていく。お菓子を媒体にして生まれるものだなと思います。お話を聞いて改めてそれはすごいことだなと思いました。そういう想いが先代の創業の時からずっとあったと思うのですが、具現化されていくための活動事例に、神山町の「イルローザの森」やお遍路さんへの接待などHPを拝見させていただきました。いろいろと紹介がありましたが、想いを形にするためのこだわりや社員教育も含めて何か取り組まれていることがあったら教えてください。
岡田
人の想いを大切にするという考えのもと、私が入社した時からすでに研修や教育には両親が常に投資をし続けてくれていました。社員、社内メンバーでいろいろなことを共有するということに時間とお金と労力をかけることが当たり前の文化としてありましたね。もちろん外部の方に来ていただいてコーチングしていただいたこともあれば、その中から自分たちらしさを出すために、それを内製化したり、常に新しいチャレンジをしたり。教育に関しては、常にどういうふうにお客様と向き合えばいいのか、お菓子と向き合えばいいのかということについてチャレンジし続けています。

そして今、社会で大切にしていきたいことを「パーパス」という形で共有しています。御社のところもグループの存在意義がHPに書かれていたと思うのですが、私たちもいわゆるミッションとかビジョンとか言われる「パーパス」を大切にしています。直訳すると目的や存在意義と訳されるようなものです。会社組織自体の存在意義って何なのかということを、経営者だけが考えるのではなく、社内のメンバーと一緒に集まって考えていくということを重視しています。

みんなで組織の存在意義を考えていくためには、個々一人ひとりが「何のために生きていくのか」といったところをしっかり持っていかないと、一緒に組織のパーパスを考えていくことはできないんじゃないかなというふうに思っていまして、パートさんやアルバイトさん全社員と軸を持ったパーパスを探っていくというワークショップに取り組んでいます。

三谷
先日、リラクス*の企画で弊社のお客様と社員でお邪魔させていただいた時、こちらの従業員さんがすごく感じが良かったと聞きました。まさにパーパスが浸透していると思うんですね。さきほどのお菓子の話にもありますが、お菓子を購入する時に手渡すのは人間ですから、もし、そこの触れ合いが残念なものだったら、そのお菓子自体も帰ってから食べる時にあまり気分の良いものじゃなくなるかもしれません。でも逆に、そこに心温まる触れ合いがあって、社長がおっしゃる何のためにこの仕事をしているのかという目的が乗っかれば、買った瞬間から気持ちがいいのだと思います。美味しさの感じ方って当然人間って気持ちで変わってくる部分もあると思いますね。
*…プラザセレクトが販売するオリジナル住宅商品

仕事の目的を持つことって大事だと思いますね。それが、従業員さんにも伝わっているんだなと思いました。素晴らしいことだと思います。このようにお菓子の製造販売飲食業、飲食接客業の具体的な目的ややりがい、逆に大変さは何でしょうか。
岡田
やりがいというところでいうと、先ほどお伝えしたとおり「ありがとう」と言われる仕事だということ。そして、お客様の想いに触れることができるということ。この二つがものすごく大きいやりがいになるんじゃないかなと思います。

不特定多数のお客様と接することでありがとうと言われることもやりがいになると思うのですが、私たちの仕事の喜びは、私たちの活動に共感していただけるお客様の特別な想いや状況や背景に触れさせていただくことができること。こちらからアプローチをしてお客様とのやりとりを積み重ねていくほどに、そのお客様を自然と大切にしたいという気持ちがあふれてきます。

もちろん仕事って大変な部分のほうが大きいと思うのですが、自分が気持ちを入れられないものに時間をかけるのではなく、自分が自然と喜びを感じられることと仕事が、直接つながっていることが、この仕事の一番のやりがいじゃないかなと思います。結果、その仕事も長く継続していくことができるのではないでしょうか。

ただ、その分それだけ人の想いと向き合わなければいけないので、お客様からお申し出やお叱りを受けることもあります。その想いに応えられなかった時、お叱りいただくときに私たちがどうしようもない時は本当に苦しいです。その瞬間は帰ってこないのだけど、どうにかしてくれと。例えば大切なお誕生日に商品をオーダーいただいたのにお納めすることができなかった時に、その瞬間を返してくださいと言われる場面が、何年もやっているとあるのですが、その時に応えきれなかった時は本当に苦しい。二度とそういった想いをさせてはいけないといったことは、大変なところとやりがいと裏表でもあるんですけれどもね。
三谷
想いが強ければ強いほど、マイナスに振れた時も大きいですからね。お客様のその瞬間を彩るためのケーキやお菓子があって、そこがうまくいかなかったらお客様はがっかりされるしお怒りになるでしょうね。それを返してくれと言われても時間は戻せないから苦しい。その大変さがあるからこそ、ありがとう、よかったと言ってもらえるのも大きいと思うので、人の想いが触れるところはやりがいと大変さが混合する場所なんだろうなと思います。
次回について・・・ 徳島で歴史のあるイルローザを運営していくにあたって、岡田社長の生い立ちや社長になってからの苦悩についてもお聞きしました。県外、さらには国外で感じた想いなどをまとめていきますので、どうぞお楽しみに!
取材・文:藤井まどか|株式会社プラザセレクト

GUEST PROFILE

岡田圭祐|代表取締役社長|株式会社イルローザ

1981年生まれ 徳島市出身。幼少の頃からお菓子に触れ合い、大学卒業後は大手洋菓子メーカーの店舗販売部門で勤務。その後、2007年から3年間フランスに渡り、南仏ペルピニャンの国際製菓学校、リヨンのパティスリー、パリのホテルなどでお菓子作りに従事し、2010年に帰国。販売・製造現場での経験を活かし、各部門間での調整や商品・イベントの企画に携わる。2019年より代表取締役社長に就任。

SHIGOTOにある

「SHIGOTOにある」とは、様々な業種の第一線で活躍するプロフェッショナルの人たちとの対談を通じ、その仕事にある新しい世界を知るコンテンツです。

Interviewer

株式会社プラザセレクト<br>株式会社プラザセレクトワークス 代表取締役 三谷 浩之
株式会社プラザセレクト
株式会社プラザセレクトワークス
代表取締役

三谷 浩之

1979年香川県高松市生まれ。日本大学理工学部卒業。大学卒業後に入社した総合建築業で建築不動産ノウハウを学ぶ。 その後、四国の地場有力建築会社を経て2015年に独立。地域を豊かにする「生活総合支援企業」を創ることを目的に株式会社プラザセレクトを創業。 現在は徳島・香川という地方エリアでシンプルなデザイン住宅の販売、投資用住宅の提案販売の事業を展開。 「Be Smile にこっを集めよう!」をスローガンに理念を重視した経営を行っている。代表著書に自身の新人時代からの仕事観を綴った「楽しく生きよう!よく遊びよく働け 想いを形にする仕事術」がある。

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