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経営者×プロフェッショナルの対談記事

Vol.3/4

写真撮影をもっと身近に

フォトグラファー
一條善也さん|EDITS

一條さんは徳島県の北島町でスタジオ「EDITS」を経営するフォトグラファー。七五三や成人式、マタニティフォトなど、人生の節目となる瞬間を柔らかく自然体のままに撮影することを得意とされています。

信条とは?

三谷
今度は一條さん個人のことをお聞きしたいんですが、
一條さん個人として、また、カメラマン、フォトグラファー、
映像クリエイターという職業人として大切にしている信条や思いはありますか?
一條
撮影に関して言えば、で
きるだけ自然な感じの表情を撮れるようにいつも心掛けています。
あとはシンプルな形を目指しています。
三谷
当然、それは会社としてのEDITSも同じ考えですね。
一條
EDITSは妻と一緒にしているので、
そこは2人で協力し合ってやっているところです。
三谷
お客様に、
「いつもは緊張するけど、一條さんに撮ってもらったら自然になれました」
みたいなことを言われたら嬉しいですよね。
一條
そうですね。
どちらかと言えば、普通に話しているところを撮るくらいの気持ちでやっています。
向こうが子どもだったら尚いいですね。
三谷
僕らでも、カメラを向けられたらちょっと力が入りますし。
一條
やはり、よそ行きの顔をしてしまうというのは誰しもありますから。
三谷
どれだけ自然に撮れるかとなると、
会話や雰囲気作りは大事ですね。
一條
できるだけ僕もしゃべりながら撮っていますし、
妻にしゃべってもらう場合もあって、
しゃべりやすい方としゃべってもらうようにしています。
三谷
カメラマンはカメラで撮る技術だけじゃなくて、
人間力というか、この人がどんなことで楽しい顔をするかなとか、
何に緊張しているのかなとか、どうやったら笑うかなとか、
撮っているときも頭をフル回転させていますね。
一條
そこまで意識したことはなかったですが、たぶんそうなんでしょうね。
今聞いたら、やはりその辺は考えているような気がします。
普段は無意識なんだと思います。
三谷
体と頭と両方フルに使うので、すごく疲れそうな仕事だと思うんですが。
一條
たしかに結婚式の仕事をした後などは、すごく疲れますね。
三谷
一生に一回ですからね。
しかも、その瞬間は二度と戻せない。
ごめんなさい、間違えましたのでやり直します、
というのが効かないので、その緊張はすごいですよね。
一條
たぶん、それがプロとアマとの差だと言われていて、
プロは絶対に良いもの撮らなければお金をもらえないけれど、
アマチュアの方が結婚式を撮ったら、何も気にせずに撮れるし、
別に撮れてなくても後で何も言われないので、
かえっていい写真が撮れたりするというのは、よく言われます。
三谷
パシャパシャ撮っている中に、一枚いいのがあったという。
一條
それで「お前プロみたいだな」みたいな話がよくあるじゃないですか。
それってたぶん、何も考えていないから余計にいい写真が撮れるんだと思います。
三谷
絶対にいい画を、いい角度で、いい笑顔を
収めないといけないプレッシャーはすごいですね。
一條
最初の方はやはり、すごくお腹が痛くなったりしていました(苦笑)
結婚式に行くとなったら、ドキドキしてましたね。

三谷
いい意味で慣れていければいいんでしょうけど。
一條
そうですね。そのあたりでやっぱり、
くじける子もいるんだと思いますね。残念ですが。
三谷
精神的にもやられてしまうと。
技術者としての技術と、仕事を取ってくるという営業的なことは当然として、
お客様の心やその場を和ませることも必要ですから、すごく大変ですよね。
人間力がいる仕事だと思います。
一條
そうですね。
三谷
被写体側の人が、この人は嫌だなとか、
この人は感じ悪いなって思ったら、もう絶対に笑わないじゃないですか。
一條
確かにね。
だから、年齢を重ねた方がいいカメラマンもきっといるんだろうと思います。
僕も歳を取ってきた方が、自分的にいいのかなと思うときもあります。
三谷
やり始めた頃よりは、今の方がいいということですか。
一條
お客さんよりだんだん年上になってきたり、
同い年くらいになってきた方がやりやすいときもやっぱりありますね。
若いということでなめられるというか、上手くいかない部分はあるので。
三谷
お客様との会話の内容も変わってきますしね。
一條
それはありますね。
経験の差もありますし。
三谷
若い頃だとついていけなかったり、うまくできなかった会話も、
年齢を重ねたがゆえにできるようになって。
一條
親御さんの年代の方だと、
「あ、こういうことがあるんだ」と「わかる、わかる」では、
ちょっと違ったりすると思うので。
三谷
こちら側も、人の感情の機微の受け止め方が変わってきますよね。
そういういろんな思いでやっていると思うんですが、
一條さんが仕事をする中で、仕事観や価値観が転換したことはありますか?
たとえば、すごく怒られたときにハッと何かに気付いたとか、
逆にすごく喜んでもらったときに、そうだったのかと気付いたとか、
仕事のやり方自体や価値観みたいなものが変わったということはあるんでしょうか。

カメラマンという仕事を通しての人生の転換期

一條
結構最近になってですが、カメラで写真を撮って、
自分の味がないな、というのが悩みになっています。
デザイナーさんにも聞いてみたんですが、
やはり年の功とか、経験が足りないんじゃないかと言われました。
だから今、勉強中です。
何か変えることができれば、それが社風にもなるだろうし、
会社の看板にもなるのかなと思います。
僕は気付いていなかったんですが、結構性格が頑固だと言われたんですよ。
あ、それだから変えられていないのかなと思って、
ちょっと、そのへんを変えてみようかなとは思ってますね。
三谷
ぱっと見たときに、一條さんらしさが滲み出るというか、
分かるような写真を撮りたいということですね。
一條
そうですね。
まだまだそのへんは全然足りないですね。
三谷
やはり、そのへんは経験値で。
一條
はい。経験とか、勉強もそうですし。
冒険心がまた必要なのかなと思っています。
三谷
思い切ったことをやってみるということですか?
一條
そうですね。
三谷さんは、たとえば家を建てるときも、毎回冒険しているんですか?
三谷
そうですね。
うちはだんだん会社組織になって動いていますが、
建売住宅とかを見ていると、どんどん尖がったものになってきてますね。
今でもそうですが、最初の頃は僕らも借金してやってましたから、
一つの建売住宅を作ろうとしたら、
すごい額のお金を借金してくるわけですよ。
当然、そんなにお金も借りれないし、全部個人保証で借り入れして、
売れなかったらもう後がない、みたいな状況でずっと続けてきたんです。
一條さんはうちの建物をずっと撮っていただいているのでわかると思うんですが、
最初の頃は白い外観ばかりでした。
一條
ああ、確かに。

三谷
室内もメープルとか、だれでも好みそうな色が多かったんですが、
だんだんと最近はいろんな色を使うようになって、
何だったら天井まで色が変わってるんですよね。
それは、やっていく中で冒険していって、もっと自分たちらしさや、
うちの商品らしさを大事にしようと言いながらやっている間に変わってきたんです。
たまに、これはやりすぎたなというときもあるんですが、
やはり、それもやってみて初めて気付くので。
やってみて、ああ、ここはダメかとか、だんだんそのラインが分かってくる感じです。
一條
でも、それは冒険ですよね。
三谷
僕らは一回売れなかったら、それが丸々借金として残りますから。
一條
額が額なだけに、すごいですよね。
三谷
でも、ほとんどの場合は、意外とやってみたら何とかなったり、
その中でお客様からいただいた声を聞いて、
こういうものの方が喜んでもらえるんだということがわかりますよね。
会社でも、大ケガとか転んで死ぬようなことはダメだよと言ってるんです。
転んで死ぬようなことは挑戦じゃない。
ただ、もう一回立ち上がれるくらいのことだったら、どんどんやっていこうと。
一條
うんうん、それはすごく大きな差ですよね。
三谷
そのあたりのリスクの線引きの中で、転んだら足を擦りむいて痛いけど、
失敗してももう一回立ち上がれる範囲だったらやってしまえ、みたいな感じでやっています。
一條
すごいですね。
それを若いうちにしておきたくて、たくさん転びたいなと思います。
三谷
転ばないとわからないですからね。
転んで痛いと、初めて気付くのかなと僕は思っているんです。
一條
今になって、県内より県外の人によく意見を聞きに行くようにしたんです。
そちらの方がやはり刺激になって良かったですね。
三谷
とくに四国だと、情報が日本でも遅れているだろうし、
もっと言えば一條さんみたいな職業だったら、たぶん世界中にすごい人がいて、
そういう人たちと接することが大きな勉強になるんだと思います。
一條
そうですね。
今が頑張り時みたいなことを、よく家では言ってます。
三谷
転換期にきているというか、転換させようというタイミングですね。
一條
独立してからずっとそうなんですが、今が一番楽しいと思えることが、
唯一仕事をやめずに済んでいる理由かなという気がします。
最終回の次回はフォトグラファーの仕事をするうえでの楽しみや苦しみをお伺いしたお話しをご紹介します。
取材・文:藤井まどか|株式会社プラザセレクト

GUEST PROFILE

一條善也|フォトグラファー|EDITS

2011年に家族写真や子供の記念写真、ブライダルフォトを中心とした会社”EDITS”を開業。家族写真、子供撮影では年間50組以上、ブライダルでは年間70組以上の撮影をしている。”「いつも通りの笑顔」SimpleにNaturalに”という言葉を大切に、写真が苦手な方や幼い子供でも楽しめる写真撮影を心掛けている。

SHIGOTOにある

「SHIGOTOにある」とは、様々な業種の第一線で活躍するプロフェッショナルの人たちとの対談を通じ、その仕事にある新しい世界を知るコンテンツです。

Interviewer

株式会社プラザセレクト<br>株式会社プラザセレクトワークス 代表取締役 三谷 浩之
株式会社プラザセレクト
株式会社プラザセレクトワークス
代表取締役

三谷 浩之

1979年香川県高松市生まれ。日本大学理工学部卒業。大学卒業後に入社した総合建築業で建築不動産ノウハウを学ぶ。 その後、四国の地場有力建築会社を経て2015年に独立。地域を豊かにする「生活総合支援企業」を創ることを目的に株式会社プラザセレクトを創業。 現在は徳島・香川という地方エリアでシンプルなデザイン住宅の販売、投資用住宅の提案販売の事業を展開。 「Be Smile にこっを集めよう!」をスローガンに理念を重視した経営を行っている。代表著書に自身の新人時代からの仕事観を綴った「楽しく生きよう!よく遊びよく働け 想いを形にする仕事術」がある。

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