お菓子を通して叶えたい想い
お菓子にあらわれる”その人らしさ”

ただ一番大切だなと思うのは、お菓子を作るのにしても、お菓子を届けるにしても、弊社はやっぱり「人」が大切なんですね。やっぱり、人と向き合いたくないという人は難しいと思います。社内の取組の中でもみんなが集まってお互いの話をするような機会や、社内での研修や集会イベントなどもすごく多いので、自分は自分のペースで…と、あんまり自分のことは知ってほしくないんですというタイプの人は、一緒にやっていくのは少し難しいと思います。会社の考えとして、「お菓子は心の栄養です」とさきほどあったように、お菓子を通じて心が通じ合う。まず自分の心を開かないと相手もなかなか難しいということですね。
昔、一流のパティシエの方に教えていただく機会があったんですが、どれだけ技術が優れていても、一緒にお菓子を作っている中で、この人の人当たりは素敵だなとかお菓子に向き合う姿勢って素敵だなとか。一挙手一投足がこの人素晴らしいなと思える人のお菓子は、一番おいしいんですね。
そういう意味で私たちの会社が表現していきたいことに、想いが合致する人じゃないと、ちぐはぐな商品やサービスになってしまうのではと思っています。
「会社を継ぐしかない」と言われた、その時
あまり勉強をしてこなかった高校生活でしたが、一年間アメリカに留学していたので英語ができることと、本が好きだったので現代文とこの2科目で勝負して、例えば外国語学部とか、国際文化とかそういうところに勉強しにいこうかなと思っていました。ところが急に父親が経営か経済しかないと言い出したのです。その時から始めてこの仕事を意識し始めました。
大きなきっかけになったのは、東京の大学で出て、徳島にはない世界が広がっていて、お菓子の深さや広さを知ったことでした。個人でされているお菓子屋さんや百貨店で展開しているトップブランドを見るうちに私自身魅了されていったというか…。自分が知らなったお菓子の世界をどんどん知るなかで、お菓子に携わることでもっと自分自身を表現できるんじゃないかなって少しずつ思うようになっていったんです。

最初から徳島に帰ることは決めていまして、その頃、イルローザはすでに200人規模くらいの会社だったにも関わらず、両親はまだまだと言い続けていたんですね。「自分がやりたいことの本当にまだ入り口しか表現できていない」ということを常に聞いていたので、自分が徳島で一からなにかすると考えたときに、僕が一人でそのステージに行くまでにどれだけかかるんだろうと思ったんです。両親のことは経営者としても人としても尊敬していましたし、一緒に経営するという形があって、そこから自分なりの表現を加えていくというステージのほうが、もっと自分自身やりたいこともできるし、人に貢献できることもできるんじゃないかなと。さんざんいろんなことを考えた中で、お菓子というものの魅力と、どの場所でどのステージで仕事をするのかと考えった時、自然と両親と一緒にやっていくという選択になりましたね。
フランスにも行かれて、先ほど一流のパティシエにも教えていただいたと聞きました。ご両親の会社で一緒に入ってやっていこうと思ったから、フランスで修行をしようと思ったのですか?

準備していくのではなくて行ってから苦労するタイプです(笑)
GUEST PROFILE

岡田圭祐|代表取締役社長|株式会社イルローザ
1981年生まれ 徳島市出身。幼少の頃からお菓子に触れ合い、大学卒業後は大手洋菓子メーカーの店舗販売部門で勤務。その後、2007年から3年間フランスに渡り、南仏ペルピニャンの国際製菓学校、リヨンのパティスリー、パリのホテルなどでお菓子作りに従事し、2010年に帰国。販売・製造現場での経験を活かし、各部門間での調整や商品・イベントの企画に携わる。2019年より代表取締役社長に就任。