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経営者×プロフェッショナルの対談記事

Vol.3/4

お菓子を通して叶えたい想い

代表取締役社長
岡田圭祐さん|株式会社イルローザ 代表取締役社長

見出し

三谷
フランスへの留学を決められた時に、岡田社長自身にお菓子を作る技術や経験はあったのでしょうか?
岡田
両親が忙しかったので、小学校時代から自分で料理などをやってはいましたね。お菓子作りに関しては大学生のときに、少し勉強をしてみたいなと思い夜間の製菓学校に1年間通ったんです。それもあって、お菓子の奥深さをより知るきっかけになりました。大学が文系だったので、ただ漠然と学校に通っていてもダメでしょ?と。理系であれば専門的な博士号がつくと思うのですが、文系の場合は、ともすれば4年間勉強しても何も残らないということが起こりがちで…。亡くなった私の祖父は、例えば公認会計士だとか、何かしらの資格を取りなさいと、目標をもって勉強をするべきなんだよと言っていたのを覚えています。でも私はあまり資格に興味が湧かなくて。両親はまったく門外漢から事業に入っているので、自分が会社に入るのであればどういうことを経験するべきなのかと考えた時に、やはりお菓子作りの勉強をしてみたいなと思ったのです。

三谷
そういう経緯があったのですね。
岡田
30歳くらいまでは最初に就職した製菓会社でいろいろ勉強して、会社にも返せるものは恩返ししてから徳島に帰ろうと思っていました。ですが、フランス留学の話が来たのは就職して1年ちょっとくらいの時でした。まだ何も覚えていなかったので、今この会社を出ていくことが本当にいいことなのかどうなのか悩んだのですが・・・。でも、例えば30歳になってフランスに行って何ができるのかと思った時に、今の24、5歳だったらお菓子作りの現場に入ることもできると思ったので、『ぜひお願いします!』と。前の仕事は全然何もやっていないのですが、ごめんなさいということでフランスに行きました。
三谷
起きていることの前段階から考えていたから、次につながっている気がしますね。社長の人生の中ですべてのことが、考えられてますね。

岡田
そうなんでしょうか。小さい時は、周りから将来どうするの?とか、それこそイルローザが大きくなるにしたがって、なんだか「岡田圭祐」じゃなくて「両親の跡取り」だったり「イルローザの岡田」みたいに見られることが多くなってきて、そこに対する反発なども思春期の頃にはあったんですけれどもね(笑)じゃあ反発するからには自分は何をするんだとか、自分は何者なんだとかが明確になくて。ただ単純に「嫌だ」というのはいけないなあという刷り込みがあったのかもしれないです。常に、自分が起こす行動やこれから先どうしていくのかを考えていく下地というのは幼少期からあって、今から思うとありがたい環境だったのかなとも思います。
三谷
そうですね。お話を聞いていると、全部よく考えられているなと。その時その時はその場で考えたということかもしれませんが、振り返ってみると全部つながっているというか。そんな感じがしますね。

見出し

三谷
社長になられた2年前は大変な時期だったと思うのですが、経営トップになったということで、考え方や仕事のやり方など変わったことはありますか?
岡田
やっぱり自分がこの会社の舵取りをするという段階になって、改めてこの会社がどこに向かうべきなのかを、今までの延長線上ではなくしっかり示さないといけないなと思うようになりました。その時にいかに自分が甘えていたのか気づかされましたね。

自分自身それなりに主体性をもってこの会社の経営を両親と共にやってきたつもりだったのですが、今までの流れはこうだったからとか、親の思いはどうだったとか、逃げや言い訳していたところがたくさんあったなと痛感しました。

今後どんな風にこの会社は変わっていくべきなのかをしっかりメンバーと共有する必要があると思います。そのためにも自分自身の方向性、エネルギーの方向をはっきりさせる必要はあるんじゃないかなとそのタイミングで思いましたね。

三谷
やはり経営トップとなると、責任感がちがいますよね。
岡田
ええ。そこは大きかったですね。11年前に会社組織にジョインしてから、課題と感じつつもなかなか変えてこられなかった、取り組み切れていなかったことのひとつに、このイルローザの何をもってイルローザとするのかというところがあります。難しいところですよね。”お菓子屋イルローザ”ということに捕らわれてしまって、本来自分たちは何のために存在するのかというところがぼやけていたんですね。それこそ自分らしさ、自分たちらしさよりも、今見えているイルローザらしさに収まろうとするのがすごくありました。

例えばみんなとワークショップをしたり懇親会をしたりしたとき、すごく心地いいのが際立ってみえるんですよね。このエネルギーが仕事の場でそのまま発揮されれば、ものすごいことになるなっていう思いがある一方で、仕事の場になるとみんなその枠に入ってしまってその人らしさが全然見えない。これって何なんだろう?とずっと悩んでいたんですが、代表に就任する時に、いろんな人と話をしていて『もっと圭祐は圭祐でいいんじゃないの』というフィードバックを立て続けに受けたんですね。あ、僕自身が自分らしさというのを見せていないし、こうあらねばならない、こうあるべきというのに捕らわれて、岡田圭祐という人間を隠した状態で社内のメンバーに見せていたということに気づいたんです。

三谷
そういう、先入観や固定概念などは歴史が積み重なるほどに生まれてしまいますよね。

岡田
前は本当に一生懸命がむしゃらにやっていれば、何かしら掴めるものがあるって思っていたんですが、そうじゃなくて、ここに行きたいんだという目的を必ず持つべきなんじゃないかなと、代表に就任するタイミングになって初めて見えてきました。
次回はいよいよ最終回。岡田社長が考える「これからのイルローザの在り方」について、お送りします!お楽しみに!
取材・文:藤井まどか|株式会社プラザセレクト

GUEST PROFILE

岡田圭祐|代表取締役社長|株式会社イルローザ

1981年生まれ 徳島市出身。幼少の頃からお菓子に触れ合い、大学卒業後は大手洋菓子メーカーの店舗販売部門で勤務。その後、2007年から3年間フランスに渡り、南仏ペルピニャンの国際製菓学校、リヨンのパティスリー、パリのホテルなどでお菓子作りに従事し、2010年に帰国。販売・製造現場での経験を活かし、各部門間での調整や商品・イベントの企画に携わる。2019年より代表取締役社長に就任。

SHIGOTOにある

「SHIGOTOにある」とは、様々な業種の第一線で活躍するプロフェッショナルの人たちとの対談を通じ、その仕事にある新しい世界を知るコンテンツです。

Interviewer

株式会社プラザセレクト<br>株式会社プラザセレクトワークス 代表取締役 三谷 浩之
株式会社プラザセレクト
株式会社プラザセレクトワークス
代表取締役

三谷 浩之

1979年香川県高松市生まれ。日本大学理工学部卒業。大学卒業後に入社した総合建築業で建築不動産ノウハウを学ぶ。 その後、四国の地場有力建築会社を経て2015年に独立。地域を豊かにする「生活総合支援企業」を創ることを目的に株式会社プラザセレクトを創業。 現在は徳島・香川という地方エリアでシンプルなデザイン住宅の販売、投資用住宅の提案販売の事業を展開。 「Be Smile にこっを集めよう!」をスローガンに理念を重視した経営を行っている。代表著書に自身の新人時代からの仕事観を綴った「楽しく生きよう!よく遊びよく働け 想いを形にする仕事術」がある。

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