Now Loading...

経営者×プロフェッショナルの対談記事

Vol.3/5

デザイナーとしての人生

アートディレクター/デザイナー
佐藤豪人さん|HIDETO SATO DESIGN

佐藤さんは岡山県を中心に一般企業から公的機関など、幅広い場所でアートディレクター/デザイナーとして活躍されています。「ヒト・モノ・コトを、ポジティブに結ぶ。」という理念のもとに、しっかりとしたヒアリングをおこない、クライアントに寄り添った制作手法を得意とされています。

これからデザイン業界へ向かう人たちへ

三谷
今までは佐藤さんが現在に至るまでを聞かせていただきました。
ご自身の経験から、『今後デザイン業界で仕事がしたい!あこがれる!」という
学生さんや社会人の方へ何かアドバイスをお願いします。
佐藤
やっぱり、本を読むことは大事だと思いますね。
美大出身者とか芸術系の職業の人ってあまり本を読まないんですよ。
三谷
へえー、そうなんですか?
絵が載っているような本も含めて、
活字を読まないってことですか?
佐藤
活字は読まないし、
ビジュアル系の本を読む人も以外に少ないですね。
本を開くってことをしないんです。
三谷
意外です。
佐藤
高校生には必ずいうんですけど、
五教科の勉強は絶対した方がいいです。
三谷
国語・数学・理科・社会・英語のことですか?
佐藤
そうです、五教科はしっかりやっておいた方が良い。
特に社会に出て使うのは国語です。
メールでも、言語能力は本当に問われるからです。
メールを読み解く力にも、国語をしっかりやる方がいいよ、
本を読んだ方が良いよ、という話をよくします。
三谷
社会人の基本として、手紙もそうですけど、
会話をしたり定期的にメールをするとか、
コミュニケーション能力がないと
そもそも話にならないということですか?
佐藤
そんな気がします。
デザインには二種類あって、商業デザインと
文化デザインで分かれるんですね。
商業デザインはこうやってご一緒しているような案件で、
それに関して言うとコミュニケーション能力と心理学が
かなり重要なのかなという気がします。
自分がつくったものに対して、クライアントがどう思うのか、
その先のユーザーがどう思うだろうとか、
心の機微を読み取れる訓練をした方がいい気はしています。

三谷
佐藤さんと話をすると、よくその話題になるんですけど、
僕も経営者として事業経営をうまくいかせようとしているわけで。
佐藤さんも同じように事務所をもって、
そこの運営をきりもりしていく訳ですよ。
経済的な問題も出てくるし、誰か人が入ると
当然その人の人生を背負うことになってしまいますよね。
そうなったときに、どっちの方が大事なんだろうみたいなことは
事務所をやっていたらやっぱり思うのでしょうか?
佐藤
僕は多分思う方だと思います。
一つの良いモデルとして、大工の棟梁に近いんだろうなと思いました。
それも昔ながらの棟梁です。
多分、大工の棟梁って自分も
物凄く達人的に作品をつくれて、その上でスケジュールや
人材の管理をして、さらにカリスマ性があるわけですよね。
三谷
仕事も取ってきますからね。
佐藤
ですよね、営業もしますよね。
そう考えると、すごく似てるんです。
結局アートディレクターだろうがクリエイティブディレクターだろうが、
何か「つくる」っていうことに長けていないとできないと思います。
管理できないんですよね。
そもそも分からない。
デザインも、その人のクリエイティビティを
読み解く力がないとできない気がします。
そういう部分を切り離して考えると逆にしんどくなるというか…
三谷
確かに似通っている部分はありますね。
佐藤
僕の商材ってデザインなんですよ、やっぱり。
デザインということは、デザイン力なんですね。
それが低下するということは、イコール商品力の低下です。
となると、お客様に対して提供する商品として
レベルが達せないものが出来上がってしまう。
そうなると自然と経営が不振になるはずなんです。
三谷
なるほどね。
佐藤
デザイン力を上げることが経営も良くなることに繋がるので、
職人的な要素も必要になるのかなあって気がします。
三谷
非常に難しい職業なんだろうなと思います。
一般的な企業で言えば、ある程度誰かが会社を興して、
切り盛りして会社が大きくなっていく。
それがもっと大きくなるとチェーン店みたいになって、
誰がやっても同じようなオペレーションができる。
みたいなものになると思うんですけれど、
佐藤さんのようなお仕事の場合では佐藤さんの事務所に仕事を発注する、
ではなくて佐藤さんに仕事を発注する場合があると思うんです。
佐藤
そうですね。
三谷
そこで、事務所として仕事を受けてますから、
そのデザインというか出来上がるものは
「ある程度は品質は保てますよ」みたいな訳にはいかないと思うんです。
佐藤さんという個人のデザイナーに頼むってなったら
我々お客さん側からすると、事務所に頼むしかないわけですよ。
佐藤さん、お願いします、とはならなくて。
佐藤
たしかに。
三谷
ようするに24時間しか時間はない。
じゃあデザイナーにも24時間しか時間はないってなってきたら
限界がくるわけじゃないですか。
そこの葛藤はないですか?

佐藤
やはり自分のステージにあった案件ってあると思うんですよ。
それはよくできていて、そうなってくると
その自分のキャパに合わせてくるケースの方が多いような気がします。
もちろんキャパオーバーになることはあるので、
そこは優先順位をつけざるを得ないんですけどね。
三谷
ステージですね。
佐藤
また、さっきの話で、人によって違うものができてしまうという問題は、
これは大手でもあると思うんです。
三谷さんの話をお聞していて、どの営業マンに当たるかを考えると
家づくりも同じだと感じました。
三谷
まあ、それによって気持ちよく家が
建てれるかどうかってのは変わりますしね。
佐藤
変わりますよね。
三谷
我々の会社だと情報、
こうやった方が住みやすくなりますよとか、
こうやったほうがちょっと税金が安くなりますよ、
とかのプラスアルファは変わってきます。
ある程度品質は会社が保ってますけど
プラスアルファは個人によって変わってくると思います。
佐藤
デザインも結構似ていて、みんな同じようにMacを使っていて、
フォントメーカーから同じ文字を買って使っているんですよ。
ということは同じ品質のものが出来るはずなんです。
でも差がでる。
デザインやクリエイティブっていう分野は
ヒト由来なので、ここの差が大きいんです。
三谷
そう言われたらそうですね。
佐藤
その差の幅の違いだと思います。
三谷
発注してる側からすれば、
佐藤さんという人に頼んだんだ。
という安心感がデザインの出来を
担保しているって言う感じだと思うんですよね。
佐藤
そうですね。
クリエイティブって解像度が細かい人と粗い人がいるんですよ。
三谷
解像度、ですか?
佐藤
解像度が粗い人は、それこそ大工さんも同じだと思うんですけど、
釘一本の打ち方でも下手だったりすると思うんです。
そのまま折れたものを打ってしまったりだとか、
ねじの部分とかもう潰れてもいいから打ってしまったりね。
解像度が細かい人は、多分、釘の打ち方がきれいだと思うんです。
そこの差が完成度に変わってくると思います。
これは基本的なことですね。
三谷
なるほど。
佐藤
ただ、アイデアの密度や質については、
デザイナーの良し悪しや相性の合う合わないがあるかもしれません。
三谷
そのヒト由来の所の大きいところが合う合わないとか、
佐藤さんがずっとおっしゃるような、適切なタイミングで自分に
仕事がくるっていうのはそうなのかもしれませんね。
佐藤
そんな気がします。

次回は佐藤さんが思う「ブランディング」とはについてお伺いした内容をご紹介します。
取材・文:藤井まどか|株式会社プラザセレクト

GUEST PROFILE

佐藤豪人|アートディレクター/デザイナー|HIDETO SATO DESIGN

1985年岡山県生まれ。デザインストラテジスト/アートディレクター/デザイナー。2007年「ヒト・モノ・コトを、ポジティブに結ぶ。」を理念にデザインスタジオを設立。デザインマネジメントの観点でブランディングを主軸としてコミュニケーションの創造を目指している。岡山県内外の法人・個人・事業・商品でブランディング実績多数。また、デザインはCI/VI・広告・パッケージ・サイン・Webなど領域を横断して展開。

HIDETO SATO DESIGN

〒700-0916 岡山県岡山市北区西之町14-17プリペアドビル #201

SHIGOTOにある

「SHIGOTOにある」とは、様々な業種の第一線で活躍するプロフェッショナルの人たちとの対談を通じ、その仕事にある新しい世界を知るコンテンツです。

Interviewer

株式会社プラザセレクト<br>株式会社プラザセレクトワークス 代表取締役 三谷 浩之
株式会社プラザセレクト
株式会社プラザセレクトワークス
代表取締役

三谷 浩之

1979年香川県高松市生まれ。日本大学理工学部卒業。大学卒業後に入社した総合建築業で建築不動産ノウハウを学ぶ。 その後、四国の地場有力建築会社を経て2015年に独立。地域を豊かにする「生活総合支援企業」を創ることを目的に株式会社プラザセレクトを創業。 現在は徳島・香川という地方エリアでシンプルなデザイン住宅の販売、投資用住宅の提案販売の事業を展開。 「Be Smile にこっを集めよう!」をスローガンに理念を重視した経営を行っている。代表著書に自身の新人時代からの仕事観を綴った「楽しく生きよう!よく遊びよく働け 想いを形にする仕事術」がある。

にある

©2025 にある All Rights Reserved.
このページの先頭へ